便潜血陽性とは?
便潜血陽性とは?
健診結果の異常の中で、最も驚き、戸惑うものの一つは便潜血ではないでしょうか?
便(べん)潜血(せんけつ)が陽性(ようせい)とは、どういうことでしょか?
以下では便潜血検査に関して解説をして行きます。
目次 1.便潜血とは? |
1.便潜血とは?
便潜血検査とは、字の通り、便に潜(ひそ)んでいる微量(びりょう)の血液を検出するための検査です。
目に見えないような少量の血液も調べることができる検査です。便に血が混じっている場合を「陽性(ようせい)」、混じっていなかった場合が「陰性(いんせい)」です。
2.どんな病気の可能性がありますか?
では、便に血が混じっていた場合、どういった病気が考えられるでしょうか?
痔核(じかく)、いわゆる、「ぢ」からの出血ももちろん考えられます。痔核が無くても、排便時にお尻が少し切れても便潜血にひっかかることでしょう。しかし、やはり、一番心配なのは大腸がんです。大腸がんは、便が通過する時に出血しやすいので、便潜血でみつかるケースがあります。その他には大腸ポリープや潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸憩室などが考えられます。
そして意外に思われるかも知れませんが、便潜血陽性となるのは、大腸の病気だけとは限りません。胃や小腸などから出血がある場合に便潜血が陽性となることがあります。
胃カメラやバリウムの検査をしておらず、便潜血陽性を指摘された方は、大腸の内視鏡検査だけでなく、胃カメラの検査も検討してみてください。
3.便潜血陽性で、大腸がんである確率はどれくらい?
便潜血陽性の方が、実際に大腸の内視鏡検査を受けてみて、大腸がんが発見される確率は一体どれくらいだと思いますか?便潜血の検査方法は、施設によっての違いがあるので一概には言えませんが、総じて3~4%程度とされています。100人中4人くらいということです。どうでしょう?意外と少ないと感じましたか?
それくらいの確率であれば、内視鏡の検査を受けなくても大丈夫でしょうか?
そうとは限りません。
大腸の腺腫(せんしゅ)性(せい)ポリープをご存知でしょうか?
腺腫性ポリープというのは、大きくなると大腸がんになる可能性があるポリープのことです。便潜血陽性で大腸内視鏡検査を受ける方で、腺腫性ポリープが見つかる方は30~40%に上ります。大腸癌の多くは、腺腫性ポリープが大きくなって癌となったものです。腺腫性ポリープのうちに内視鏡で治療をすれば、大腸がんの予防になります。便潜血を指摘された方はポリープのうちに発見し、大腸がんを予防するためにやはり内視鏡検査は受けた方が良いのです。
便潜血を指摘された方は大腸内視鏡検査を受けてみてください。
文孝茂木, と廣明萩原. 「大腸がん検診における中間期癌の特徴」. 日本消化器がん検診学会雑誌 55, no. 2 (2017年): 199–207. https://doi.org/10.11404/jsgcs.55.199.
芳樹片倉, 豊彦結城, 匡佐藤, 一彦石田, 啓伊藤, 剛小林, 克巳木村ほか. 「免疫学的便潜血テスト陽性胃癌の検討」. 日本消化器病学会雑誌 97, no. 6 (2000年6月5日): 691–96. https://doi.org/10.11405/nisshoshi1964.97.691.