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胃腸と生姜の関係について

[2022.12.05]

 

胃腸と生姜の関係について

こんにちは、浦和消化器内視鏡クリニック看護師Yです。

12月に入り、年の瀬の寒さが身に染みる季節となりました。ドラックストアやコンビニ、スーパーにも、からだの冷えや風邪の対策として「生姜」に関連した商品が多数お店に並ぶようになったなと、買い物途中にも冬の到来を感じます。冷えに効果的と言われる「生姜」ですが、実は胃や腸の消化管にもとても良い効能を持っていることはご存知でしょうか?

 

目次

1.古代から重宝された生姜
2.たくさんの有効成分
3.生姜の効果

 

1.古代から重宝された生姜

生姜の歴史は古く、紀元前2世紀には既に南アジアで香辛料として使用されていました。紀元前4世紀にはヒンドゥー教の大斜事詩に料理として使用する記述があり、中国の医書にはきわめて重要な薬草と記録が残されています。香辛料としてだけでなく、消化を促進する効能が評価されました。

古代ギリシャ人やローマ人は生姜を東方から輸入して、腸内の寄生虫の駆除に使っていました。中世ヨーロッパでも珍重され「エデンの園の植物」と呼ばれ、消化促進・吐気の緩和、風邪・気管支炎の治療など、さまざまな症状に利用していたそうです。貿易によって古代世界の様々な場所へ広がり、食用だけでなく、消化管の不調の治療、腸内ガスの緩和、手足の血行の改善に用いられました。

日本でも2,3世紀ごろに中国から伝わり、古事記にも「はじかみ」として記載されています。「はじかみ」は漢字で「矢生姜」と書く、葉生姜の一つです。現在では、焼き魚のあしらいとして、見た目の華やかさだけでなく、口直しや酸化防止効果のために添えられていますね。現在、科学は発展し、生姜の成分や効能が明確にわかるようになりました。

 

2.たくさんの有効成分

古代から貴重にされていた生姜、その効能のもととなる注目して頂きたい3つの成分を紹介します。

 

・ジンゲロール

生の生姜に多く含まれている辛味成分です。ジンゲロールは、免疫細胞を活性化、殺菌作用、胆汁分泌の促進、抗炎症作用、吐き気・頭痛を抑える作用、老化を防ぐなどの効能があります。
お寿司にガリ(甘酢漬けの生姜)が添えられているのは、口直しだけでなく生姜の殺菌作用を利用して食中毒対策に用いられています。

 

・ショウガオール

ジンゲロールは加熱されるとショウガオールへ変化します。このショウガオールは、血行を促進する作用や、体を温める働きがあるほか、新陳代謝を活発にし、発汗作用を高める働きがあります。

また生のまま摂取するよりも乾燥させたものか、加熱調理することでより身体を温める効果が大きくなるとされています。

 

・ジンジベイン

ジンジベインは蛋白質分解酵素です。強力な分解能力があり、1gで9kgの肉を柔らかくすることができるといわれています。肉や魚の消化吸収を促進して、消化不良や胃のもたれ胸やけなどを防ぎます。

生姜焼きは、生姜と肉を漬け込むことで風味をつけるだけでなく、生姜に含まれる酵素、ジンジベインの働きによって肉質を柔らかくしているのですね。

 

3.生姜の効果

生姜が消化に良いとされるのは、ジンゲロールやショウガオールが胃腸の内壁の血行を促進し、胃腸の働きを活発にして食べ物の消化吸収を高めること、ジンジベインが蛋白分解を助け、胃腸の負担を軽減をしてくれることがわかりました。

良い効果があるということは、作用がそれなりに強く作用する可能性もあるので、胃腸の調子が悪いときの摂取や、多量に摂取することは禁物です。生の生姜は繊維質であり消化はしにくいことや、摂りすぎで胃粘膜に強く作用してしまうこともあります。

 

年末に向かうと、クリスマスやお正月で暴飲暴食になりやすい時期になります。冷え対策だけでなく、胃腸の消化対策としてもこの冬は上手に生姜を摂取してみてはいかがでしょうか。

 

 

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