お通じのはなし
お通じのはなし
こんにちは。看護師のYと申します。
今回はふだん何気なくしている排便、お通じのお話をしたいと思います。皆さんはご自身のお通じの状態を観察したことがありますか?
実は看護師にとって、お通じの観察はとても重要なことなのです。何故かというと、お通じの状態で消化管の状態や働き、病気の有無を知ることができるからです。是非、皆さんもお通じの観察を始めて頂き、ご自身のからだの状態の把握をしてみてください。
それでは、どうやって観察をしたら良いか、どんなことがお通じからわかるのかの具体的なお話に移りたいと思います。
目次 1.良い便か、悪い便か |
1.良い便か、悪い便か
良い便かどうかの確認のためには、形状、硬さ、太さ、量、色、回数、においなどで判断をします。お通じの正常な状態は、形状:有形の軟便、硬さ:バナナのような性状、量:100g~250g/日、色:黄褐色、回数:1日1~2回であり、1日3回から1週3回程度の回数なら正常範囲内。におい:腸の働きが弱いときはにおいが弱くなり、便秘などで腸管内の滞留時間が長くなると、においが強くなります。
また、硬さの判断には「ブリストルスケール」という国際的に使用されている基準があります。
このスケールでは
タイプ1~2は便秘
タイプ3~5が正常なお通じ
タイプ6~7は下痢気味で消化吸収ができていない可能性があると判断します。
2.異常なお通じについて
そして、ここからは早急な受診が必要な、異常なお通じについてです。
服用するお薬の種類・内容によっては便の色に影響を及ぼすこともありますが、下の表に記載されているような便が突然出たり、ある時期から続いているなどの場合には要注意です。何かしらの病気のサインの可能性があります。
便の状態 |
考えられる病気やからだの状態 |
|
黒色便 下血 |
上部消化管出血の可能性。タール便とも言われます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍、がん、出血性胃炎、食道静脈瘤などの可能性があります。 | |
赤色便 血便 |
下部消化管出血。肛門に近いほど鮮やかな赤色をしています。痔、潰瘍性大腸炎、感染性腸炎、大腸ポリープ、結腸がん、憩室出血などの可能性があります。 | |
細い便 | 便が今までより細くなったと感じる場合には、腸管に何らか便の通過を邪魔するもの(がんやポリープなど)の可能性があります。 | |
灰白色 白色便 |
胆汁分泌低下の可能性。 胆嚢や胆管、膵臓に病気が隠れている可能性があります。 |
3.対処法について
表の内容のような便が出たときは、可能であれば写真を残して頂き、なるべく早めに受診をしてください。一日に何度も続く場合には、回数の把握もして頂くと状態の把握に役立ちます。場合によっては内視鏡検査が必須となることもあります。
また、すべての大腸ポリープが血便を起こす訳ではありませんが、今や40代の半数が大腸ポリープを持っているという統計が出ています。そして年齢を重ねるとポリープはできやすくなると言われています。早期発見・治療には下部内視鏡検査(大腸カメラ)が一番ですので、検査をおすすめします。
異常な便の状態以外でも、下痢が続いていたり、便秘などの便通の状態のことでお悩みがある方、内視鏡検査をご検討の方もお気軽にご相談ください。
「お通じはからだのお便り」とお話される医師もいらっしゃるくらい、便でからだの健康状態がわかります。今日からお通じのセルフチェック、是非始めてみてください。